新人

今と昔では神楽殿もだいぶ変わりましたね。

先輩A

そうですね。写真から分かるように外装はだいぶ変わりましたね。
建物の外装を整え塗装をし、舞台の周りには欄干などの装飾を施しました。外から見えない部分でいうと、舞台の床は板張りだったので新たに畳を敷きました。

先輩B

費用を抑える為に使われなくなった畳をもらってきて、自分達で敷いたんだよね。
舞台の床に合わせて畳を敷くのがあんなに大変なこととは思わなかった…。

新人

外から見えない部分でいうと、地下の稽古場所もみなさんで造られたんですよね？

先輩A

はい。みんなで造りました。
元々神楽殿の地下は神社の倉庫になっていました。なので、まず初めにみんなで倉庫の片づけから始めました。色々なものが雑多に収められていたので片づけるのが大変でした。（笑）

先輩B

片づけたあとは稽古ができるように環境を整えていったね。
稽古は主に夜になるから音が外に漏れないように天井に消音材をつけたり、季節問わず稽古できるようにエアコンも整備したんだ。
畳と同様に消音材も自分達で取り付けたから本当に大変だった…。

新人

神楽殿の改修を行う上で気を使った所はありますか？

先輩B

特に気を使ったのは災害対策かな。
稽古場所は窓のない地下になるから、何かあった際すぐに外に逃げられるように、舞台に直で通じる階段を設置したり、複数人が同時に分散して逃げられるように階段を複数設置したりしたよ。少し前までは子供達がたくさんいたから、何かあった時その子達がちゃんと逃げられるようにね。

先輩A

ちょっと前（コロナ前）までは多くの時間を神楽殿で過ごしていたから、みんなが少しでも快適に過ごせる様に工夫をしました。
トイレやエアコンを神社にお願いして設置して頂いたり。少しづつ設備も充実していったと思います。

新人

私が知っているのは今の神楽殿ですが、現在の形になるまでたくさんの苦労があったんですね。お話を聞いて初めて知りました。現在不自由なくお稽古ができたり、お囃子が披露できるのは皆さんの苦労や努力があったからなんですね。

新人

神社に参拝に来られた方はシャッターが閉められた神楽殿を見る機会の方が多いかもしれません。春の例大祭（春祈祷）や元朝祭ではシャッターが開けられ、舞台の上でお囃子が奉納されます。
見に来られた方は今回のお話を思い出しながら神楽殿を見てみて下さいね。

【其の壱】神楽殿のお話